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菅田菴
菅田菴への順路は、楓の馬場から、池に沿う道を右折して外露地にあたる苔むす坂道を登って待合(御風呂屋)に至り、飛石伝いに坂道を数歩下りて露地に達するものです。楓や老松が枝をかざす山あいの道を経て菴に至るまでは眺望を求めず、幽遼閑寂の趣を感じさせます。席に導く露地と向月亭庭は建仁寺垣で隔てられ、中門をくぐり庭へ出ると快濶宏大な展望が現れる対比の効果により、それぞれの美しさを一層引き立たせます。
向月亭
向月亭は低い皐月の刈込のささらに囲まれ、手水鉢燈籠附近以外には一草も植えず、一面に玉砂利を敷きつめ、飛石を点綴し、主室前に短冊形に延段を配しています。延段の両側を太い青竹でかくすことで霰石を一層引き締め、庭全体の調子を強めます。くつろぎの間の前庭は橋杭型手水鉢、両端に六地蔵燈籠を配し、その前方の傾斜面を平たく大刈込した見下ろしの景観です。
待合として腰掛、袴直しの間、浴室、脱衣の間、雪隠からなる一棟で、茅葺角屋造の建物です。東北面に広い土庇を廻し、建物の背後の面に蒸し風呂の構え、流し場、焚口の土間等を備えています。
菅田菴を中心として不昧公と雪川公、また宗意をあわせた兄と弟、君と臣との三人の作者の心の繋がりを、待合、菅田菴、向月亭との関係に見せる所に、些々たる手法の優劣の批判を越えた麗しさがあります。
御風呂屋
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